Two.疑心暗鬼の胸の奥

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「ご、ごめん」 「別にいいけど。メッセージ送ったんだからスマホくらい見ろよな」 「メッセージ? あっ、本当だ!」 スマホを確認すると、東徳さんからのメッセージが数件、届いていた。東徳さんはまだかな、とその姿を探す事だけに意識が向いていて、スマホをチェックするという行動が頭から消えていた。 そんな僕を見て、東徳さんは呆れたように溜め息を一つ吐く。 そして。 「お前、意外と抜けてんだな」 ……抜けてる、だと? 「ちょ、ちょっと」 待ち合わせ場所を間違えたのもスマホを確認しなかった事も事実だが、その言葉はスルー出来なかった。 「抜けてるなんて言われた事、今まで一度も無いよ。今日はたまたま」 「そうか? この前待ち合わせた時も、乗り継ぎの電車間違えたって言って遅れたきただろ」 「そ、それもたまたま! 他の人の前ではそんな失敗した事無いし!」 「ふーん。じゃあ、お前が抜けてるのは俺の前だけって事か」 「そう!」 ……ん?そうって言い張るのも何か違うか? 「……ふっ」 案の定、東徳さんに笑われてしまう。 普段は無表情のくせに、こういう時は笑うんだから……! 「わ、笑わないでっ」 「はいはい。つまり花梨は、俺と会うのが楽しみで浮き足立ってたって事だよな?」 「ち、違うって!」 ……今日も相変わらず、東徳さんのペースに流されてしまっている。もっと気を引き締めなければ……。
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