Two.疑心暗鬼の胸の奥

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「デートっつったら花束とかだろ」 「え、え?」 「お前、俺と会っててもちゃんとデートだって認識してるのか微妙なところあるからな。ちゃんと認識させる為に用意した」 に、認識って……。そりゃあ確かに、デートと素直に認めたくない自分もいるけれど。 光沢ある、深紅の薔薇。一体、何本あるのだろう。 「……でも僕、男なんだけど」 「別にいいだろ。お前の名前にも〝花〟って入ってるし」 「それは関係ない……」 こんな演出されたら、多くの女性は間違い無く喜ぶとは思う。あわよくば、もう少しムードのある渡し方をした方が良いとは感じるが。 しかし僕は女性ではなく、言うまでもなく男だ。 ……それなのに 少し、嬉しいかも……。
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