Two.疑心暗鬼の胸の奥

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「んっ……」 突然の事に驚くも、嫌悪感はーー無い。 唇を奪われた瞬間に見開いた目に映るのは、瞳を瞑る東徳さんの綺麗な顔立ち。 東徳さん、睫毛長いな…… などとぼんやり思いながら、僕もそっと瞼を閉じた……。 ーー彼とは、初めて会ったあの日以降は、身体を重ねたりはしていない。 今日のようなデート?は何回かしているのだが、キス以上に及んだ事は一切無い。 勿論、迫られても拒否するとは思うが、そもそも彼の方からもそういった気配が無いのだ。 だけどこうやって甘いキスをしてきたり、薔薇の花束をくれたり……彼は一体、何を考えているのだろう。 と、そんな思考に気を取られた瞬間、東徳さんの舌が口内に侵入してきて、僕は思わず肩をビクッと震わせた。 「ん、んぅ……っ」 心臓が激しく脈打ち過ぎて、痛いくらいだ。 だけど、そんな鼓動も心地良く感じてしまう自分は、どこかおかしいのだろうか。 しかし。 「……は、ぁっ。こんな所で、駄目」 僕から唇を離し、彼の胸板を押して距離を取った。 そんな僕に、彼は「じゃあ……」と口にする。 じゃあ、の後に続く言葉を予想して、自分の全身が緊張して硬くなるのが分かる。 ……しかし、彼から返ってきた言葉は、想定していたものとは違った。 「そろそろ飯でも行くか」 ……飯? 「ちょうど腹も減ってきたし。いいだろ?」 「う、うん……」
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