Two.疑心暗鬼の胸の奥

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「家は近い? 送っていくよ」 「電車で来たから歩いて帰れる距離じゃなくて……。でも、親に電話すれば迎えに来てもらえるかも……」 「じゃあそれまでの間、僕の家で休むといいよ。ここに居たら危険だし」 「え? でも悪いですし……」 「僕の両親はアルファだけど、優しい人だよ。あ、そもそも今日は二人共、夜遅くまで帰ってこないから家に居ないんだった。だから気も遣わないで」 そう伝えると、彼女は遠慮がちに、しかし確かに頷いてくれた。 「良かった。あ、僕の家はここから近いんだけど、念の為に君は首輪を着けた方がいいかもね。持ってる?」 「首輪も盗まれた鞄の中に入っていたから……」 「そっか。じゃあ僕の首輪を貸すよ」 そう言って、ショルダーバッグの中から首輪を取り出す。 持ち歩かない主義だったが、先日の一件で懲りた為、そうは言っても持ち歩くようになったのだ。 「キツくない? 大丈夫?」 「あ、はい……」 彼女の首元に、首輪を無事に着け終わる。 「これで安心だね」 そう伝えたら、彼女もようやく微笑んでくれた。 そうして、僕は彼女の手を引きながら、一時的な避難場所として我が家に連れて行った。
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