7人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
第十六話 解決編
俺はコンビニでおにぎりと、パン、カフェオレを手にレジへそして目に入ったスポーツ紙を一部かった。
「あれ?今日はいいの?」
いつものレジの姉ちゃん、チキからはと言われたけど、今日はこれと新聞を持ち上げた。
ふア~、ねみー。まじ眠い、教室は言ったら速攻、寝よ。
学校に着くと、雄一の武勇伝にみんなが集まっていた。
センタはまったくといい、俺の持ってきたスポーツ紙を取り上げた。
「綾乃ちゃんどうなるのかな?」
母親は殺人教唆、殺人を手伝った罪に問われる。
それと俺はなんとなく腑に落ちなかった。
「何怒ってんだよ」
絡んでくる雄一にセンタが新聞を指さした。
「なになに、s市で起きた、死亡事故について、捜査二課が担当していた、汚職事件の捜査?」
捜査中、詐欺の容疑で手配していた白井容疑者。元の住居を捜索、死体を発見、殺人事件の関与が疑われた。
「いいように書かれたな」
「こっちが目的さ、最初田神さんにあった時、彼は、それ目的で俺の処に来たんだ、でも、綾乃ちゃんが容疑者と同じアパートだってわかって、俺を泳がせたんだ、くそっ―!」
まったく、何で嘘をついてまで一課だって思わせたかったのかしら。
はるみが入ってきた。
「知らねーよ」
「俺さ、ずっと、キャリアって、捜査一課だとばっかり思ってたんだ」
「テレビの見すぎ」
「お前だって知らなかったジャン」
「わ、私は興味なかっただけよ」
「まあ、キャリアは頭脳部隊、だから二課なんだ、たたき上げの一課にはならないってこと、一つ覚えただけでもいいじゃないか」
「なんか納得いかねえ」
「いいんじゃない、これで、受験にはいれるでしょ、はい、これ」
「なんだよこの参考書」
「明日から中間テスト、忘れてるからって、叔母さんから」
「嫁以上じゃん」
「一緒になれよ」
「いやよ、一緒になるなら日向先輩みたいなかっこいい人選ぶもん。じゃあね」
「ふられたな」
〈ちげーよ。ウッせーよ〉
「席戻れ、授業はじめるぞー!」
ガタガタと席に着く生徒。俺は新聞を折りたたんだ。
小さく乗った写真には、お手柄チビちゃんの写真。
そこには、俺たちと、笑顔で笑っている綾乃ちゃんの姿が乗っていた。
秋、学校からの帰りの電車、見覚えのある人と目があった。
小ざっぱりした格好の男性のそばへ。
「お久しぶりです、就職決まりましたか?」
吉田さんは照れ笑い、決まったと言っていた。
「あのアパート、取り壊しが決まってね、俺も卒業したら出ていくよ」
残念ですね。
綾乃ちゃんにあったかと聞いてきた。
あの後、彼女の離婚したお父さんに引き取られていったのだけは知っていると答えた。
「そうか、よかった」
電車を降り、同じ方向の彼と一緒に歩いていた。
俺に嘘を言ってごめんと言った。
あっちゃん、愛梨さんを知っていた。でも、高校生なんかにいって何になると思っていた、あんな事になるなんて、もっと早く、気が付いていたらという。
「白井、あいつと何かあったんですか?」
サークルの先輩、金使いが荒く、ただ、いろんなことをして、確かに金は持っていた、株や投資話をしては稼いでいて、それを押し付けるように後輩たちにも広げていた。
俺はそれについていけなくて、やめた。ただ、同じアパートにいるのがわかった。
出来るだけ接触しないようにしていたんだそうだ。
でもある時、あの部屋から出てきた愛梨さん。何をしていたのか聞いたがこたえることはなかったという、ただ、同じサークルの女性の間で、体を売っていると聞いた、それがあの部屋。
それを知った時はもう遅くて、彼女を見ることはなかったという。
そう、山田の部屋の床からは、薬物の反応が出たんだ。だから匂いが無かった、煙草もあれだけの数、匂いがあってもいいのに、何もないのがかえってそう思わせてしまった。
彼の殺害場所は204号室。
山田の相手は、綾乃ちゃんと住んでいた男。
そう、出掛けるはずだった、その男と一緒に。
だが、予定が狂ってしまった。
それは、逆上した、母親が、殴ってしまったこと、彼はこれで死ななかった、でも、死んだと思った彼は、白井に相談に行った。そう、彼と、山田の金を奪い、彼女と同じ所で殺し、それを、あの汚職事件に関与したものにおわせるという筋書きが出来ていたのだそうだ。
もちろん二人のあっちゃんの通帳に残金があったわけで、ほおっておいたら、あと一年は見つかることはなかったかもしれないが・・・
だが狂った、もちろん、俺の出現もそうだったのだろう、でも、最初のとっかかりは、綾乃ちゃんの母親の嫉妬だった。愛梨さんの親はだいぶ悲しんでいたという、そりゃそうだろうな・・・
「神様はちゃんと見てるんだな」
「悪いことはできないんだ、日本の警察は、殺人に関しては優秀だからね」
綾乃ちゃんが幸せなら、それでいい。
俺はコンビニの前で別れた。さよなら、もう会うこともないだろうから。
音楽がなり、客が入ってきたことを知らせていた。
「ゲ!」
「ゲってなんだよ」
「げはげじゃ」
雑誌を見ている田神、何でいんだよ。
飯の招待、来ないかと誘われた。
金曜の夜。
まあ、あそこの飯は美味しいからな。
「俺だけ?」
「まさか、いつものメンバーでどうですか?」
先輩もいいのかと聞くと、どうぞと答えた。
田神さんは笑っていた。
「どうせ飯で釣れる単純な奴とか思ってるんでしょ」
「いや、いや、君が居なかったら、わからなかったからね」
「どうだか」
俺はいつものを手に、帰ろうとした。
「そうだ、田神さん、今度俺を引っ掛ける時は容赦しませんから」
どういうことだと、彼は週刊誌を買って、俺についてきた。
「これ?」
俺は、彼からもらった名刺を出した。
「詐欺で、出したらどうなるかなー」
おい、それはないだろという彼。
「ちゃんとしたのくれよ、透かしも入ってねえじゃんか」
「騙されるお前が悪い」
「だって信じるだろうが」
「信じてくれたんだー」
「もういいよ、じゃな」
まだいいだろう、少し付き合えと、公園のいつものベンチに座った。
「白井が全面自供した。金は、もう帰ってこないだろう」
「しかたがないよね」
「ただな」
「ただ?」
俺の方をじっと見てる。
なんかいやーな予感、パックのカフェオレを飲み込んだ時、ゴクンとものすごい音がした。
「その金のありかがわからん」
何だそりゃ。
「まったく、いい加減・・・」
ハッ、ハッ、ハッ、足元に、見覚えのある紐…たどると。
「オー、チビちゃん」
「また脱走かよ、オー、そうだ、チビ連れてきなよ、俺よりいい働きするかもよ」
おー、そうだ、その手があった、ちび、行こう。
「行こうって、あて、あるのかよ!」
俺は走り去る田神さんに向かって叫んだ。
「ない!」
「無いのー、俺知らねーからな!」
約束、待ってるからな!
彼はそう言い残し去って行った。
「まあ、わかってんだろうな」
そういや、なんか、買ってたな。
俺は、又コンビニに戻り、先の人が買った雑誌はどれと聞いた。
「これだね」
「ありがとう」
中をぱらぱらとめくった、そこにはs市の市長がのっていた。
金の受け渡しね、やっぱ横領じゃねえか。
「やっぱりわかってんじゃん」
俺はそれを戻すと家に帰って行った。
「ハー、みんなに連絡しなきゃ」
もちろん、チビの飼い主の健ちゃんや、雄一の兄弟も連れてかねえとな。
だました責任は償えよっと
いくいく。
いいのかよ?
絶対行く!
リベンジ。
俺はスマホを見ながら、笑っていた。
そして彼女と会った日を思い出した。
「お兄ちゃん、コナン?」
「真実は一つ!」ってか、まあ一件落着だよな。
END
この物語はフィクションであり本作品に登場する人物、団体は、架空の物であることをお断りしておきます。
事件6 二人のあっちゃん 解決
最初のコメントを投稿しよう!