第一話  迷?探偵再び

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第一話  迷?探偵再び

事件の外見が奇怪に見えれば見えるほど、その本質は単純なものだ。平凡な顔ほど見わけがつきにくいように、ありふれた犯罪ほど、本当はやっかいなんだよ。 Byシャーロックホームズ 桜の花も卒業式とともに散り、四月、春の陽気、なんて言っていられないほど暑くて、それでも梅雨になれば寒い日が来る、なんて言ってらんねー。 あっという間に五月です。真夏です。制服のシャツを脱いでТシャツ姿です。アジ―。 お久しぶりです。山岸一馬、無事高校三年生になりました。 相変わらず、いつものコンビニで代わり映えのしない、チキからと一リットルのカフェオレを買い、目の前にある公園のいつものベンチに座ろうとしてます。 日向先輩は大学生になりました、弁護士にでもなるのでしょうか?心理学をやりたいそうで、そんな勉強ができる大学、いや、いや、この日本において一番の大学へと入られました。 今はたまに近況報告するくらいしかメールはしておりません。まあつきあいなんてそんなもんです、はい。 俺も受験生、そろそろとは思っておりますが・・・ 目の前に、真新しい赤いランドセルを背負った女の子。じーっと俺を見ている。 ? そういや、あれから、俺の一番の親友、中村雄一は近所の犬猫の捜索や、なくしたものの捜索なんか、くっだらねえもんばっかり、ドッから持ってくるのか、俺に依頼だと言って押し付けてきやがる。ただじゃやんねー。そう言ったら、金は取るとか言って、しょうもうねえ金額を俺の前に出しやがる。 「はい、これ、依頼料」 「お前、小学生からとったのか?」 「お前がとれって言ったんだろ、ちゃんと領収書は切った」 「なんで四百二十円なんだよ」 「金飯亭の、ラーメンライス代、カツアゲじゃねえからな、犬見つけたお礼だっていうから」 「はい、はい、ありがとう」 こんなんで、飽き飽きしてた。 「何?」 走って行って止まった、こっちを振り返ってみてる。まっいいか、カフェオレの口を開け一口、チキからの口を開けると暖かい湯気と油のにおいとあのスパイスのにおい。 脇についたつまようじを取り、一つに刺して、口に入れた、ジュワーッと鶏肉の味が口の中に広がる、なんて、いつもの味だよな。 ん?いつの間にか、戻ってきてる。 「食べる?」 首を振った。 ・・・・何?なんなんだこの子? 「お兄ちゃん、コナン?」 どえりゃーストレートじゃアーりませんか?お嬢ちゃん。 「ズバリ!はずれでしょう」 「探偵じゃないの?」 チッ、チッ、チッ、違うんだなー。 「探偵だよ?お嬢ちゃんどうかしたのかなー?」 手にしていた、カフェオレを落としそうになった。後ろからひょいと俺の肩越しに顔が出て来た!ドッひゃー、久しぶりの登場、あんた何してんだよ! 「おじちゃんだーれ?」 「おじちゃん警察の人」 「お巡りさん?」 うんと言ってるこの人、どう見ても警官じゃねえだろ、どこの社長さんだよ。 ブランド物のスーツに、糊のきいたシャツ、なんかコロンもつけてるのかいい匂いがするし。 顔を引きつらせながら、こういった。 「田神さん、お久しぶりですねー」 「いやー、なんかかわいい子が目に入ってね」 って、あんた子供嫌いだろうが! どうかしたのかなーなんて、俺の隣に座らせて、ちょっと行ってくると言い残し、コンビニに行ってるし。 持ってきたのはブラックのコーヒーと、紙パックのジュース。 彼女を挟んで座るとジュースを女の子に差し出した。 「なんで、このお兄ちゃんが探偵だって知ってるのかな?」 「健ちゃんちのちびを探してくれた」 あー、あの子の友達かよ。 へーという田神さん、俺悪いことしてませんから、もらったのはあくまでも報酬です。 「それで、俺に何の用?」 「あっちゃんがいなくなったの?」 あっちゃんて、誰? 「上に住んでるお姉ちゃん」 いなくなった?いつから? 「んー、寒い時」 お正月? 「もっと前」 クリスマスかな 「もうちょっと前」 大体十一月から十二月入ってからってところか?ハロウィンに?マークだったしな。
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