英断の男

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 ー その男は苦悩していた。  これまでの経験があるからこその不安に苛まれる。  社会的にも、秩序の為にも職責を尽くしているつもりだ。  けれど、どうしたことか。  時折訪れる孤独と絶望を埋める事は難しい。  世の為、良かれと思って身を粉にしてきた。  闇落ち?  そんな最近の言葉を思い出し、苦笑いする。  鋭い眼光には苦悩の深い深い皺が刻み込まれている。  その目元が心なしか潤んでいるようだ。  葛藤…?  愚かな事だ。  だが……
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