英断の男

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 グレーゾーンなどない。  情状酌量もない。  我には二択しか与えられない。  人が増えすぎてしまった今、躊躇する(いとま)もない。  息つく間もない。  窒息しそうだ。    どう決断しても、また、あのドロドロした(もの)を飲みくださなければならない。  浄玻璃鏡(じょうはりのかがみ)に映る自分の顔をちらりと覗く。  この無限に続く決断の鎖を断ち切りたい。  獣のような咆哮をあげ、とうとう彼は血迷い暴挙に出た。
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