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ドラマみたいな展開
次の日、私はコンビニに寄り、日課のビールとおつまみを毎日充実感に溢れ、とうとう鼻歌を歌いながら、カゴに入れていた。
ついに楽しくて嬉しくて、自然と鼻歌までもが。私は、ついに頭がおかしくなってしまったか。
「 あの…… 」
後ろから声をかけられた私は、ナンパされたかと勘違いを起こし、少し睨みつけるように後ろを振り返ってしまった。
「 え? 」
後ろにいたのは、幼なじみの直也くんだった。警戒心ありありな私は、こんな背後から回られるのは、正直好きではない。
「 覚えてる? 」
「 う、うん 」
「 あのさ、もしよかったら、連絡先いい?」
私は、たった一言しか話すことが出来なかった。きっと、普通は、昔ばなしに花を咲かせたりするのだろう。
でも私は、人見知りもあるせいか、なかなか話を弾ませる事ができなかった。
なのに、幼なじみの直也くんに、私はナンパされてしまった!!なんなんだ、この展開は!
恋愛からは、遠ざかってしまっていたせいか、ただただ、言われた通り、連絡先を教えてしまった。ちゃんと断れない自分が情けない。好きになる要素など、今のところ一ミリもないのに。
どうやら私は、このシチュエーションに乗っかってしまったようだ。
「 この恋愛ドラマみたいな展開はなんなの」
私は、なぜか軽くスキップをし、レジ袋をブンブンと振り回してしまっていた。男性と話すことすら、あまり無かった私には嬉しかったのかもしれない。すぐに家で待っているララちゃんに報告したくて急いで家に戻っていった。
「 ただいまー!ララちゃん聞いて! 」
私は、この恋愛ドラマみたいな展開があった事をララちゃんに話し始めていた。
「 幼なじみの人が、コンビニにいてナンパされたの…… 」
私はその事を話しながら、先ほどコンビニで買ってきたビールをプシュッと開けている。
「 すごい!」
と言いながら、ララちゃんは、小さな拍手をしてくれている。
ララちゃんの仕草や行動、一つ一つがやっぱり、レトロな感じで見ているだけでもわたしは、癒されていった。
「 ララちゃんのレトロな動き、面白いよ。私もララちゃんの時代に行ってみたかった 」
「 私の時代、私は人形だったから、わからないんだ。私はこうやって動けて、なつきちゃんと一緒にいれて嬉しいよ 」
ララちゃん……。顔もあんなに可愛らしいのに、性格までもこんなに可愛らしいなんて。
私達は、お風呂も一緒に入り、お揃いのパジャマを着ている。
今まで仕事も何もかも、無理して一人で頑張ってきた私に、神様はご褒美をくれたんだ。
「 なんて幸せな時間。幸せすぎる 」
こんな幸せな生活が、一年続いていた……。
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