彼の手

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 シャワーを浴びてから、ベッドの端に座っている彼のとなりに、腰をおろした。  バスタオル一枚を巻いただけのほてった体で、彼のほうにしなだれかかる。  着やせする彼の肩に頭をあずけた。  彼はワイシャツ姿で、テレビの歌番組に見入っている。画面のなかでは、女の子の集団が、踊りながら軽快な歌を歌っていた。  これが××というグループ?  彼が訊くから、わたしは微笑んで間違いを正す。  違うわよ。これは〇〇。  へえ、似たようなのがいろいろいて、おれ、わからないよ。  なあによ、まだぜんぜん若いくせに。  なじりながら、わたしは彼の右手を取る。  彼はわたしにされるままになっている。  すらりとして、きれいな指。  この指が好き。  爪がピンク色で、半月も大きく、とても健康的。てのひらも大きくて、温かい。  彼の手が好き。  そうやって右手をもてあそんでいると、彼の左手が、わたしの手にかぶさってきた。
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