空から女の子が落ちてきた話

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 親元で暮らす男であったが、昼間は家族が留守にしているので、誰にも知られず少女を二階の自室まで運び込めた。しかし、散らかりきった部屋である。仕方がないので廊下に転がしておいて、一部、床が見える程度に片付け、「これでよし」と、腕を引っ張って少女の身体を起こし、担ぐようにして部屋の中に移動させた。ベッドを背もたれに座らせようとしたが、意識の無い身体はぐんにゃりとして、思うようにいかない。面倒になったので、そのままベッドの前に転がしておくことにした。  一旦離れて全身を眺めた後、男は少女に近付き、今度は念入りに観察した。  年の頃は十六、七であろうか。十八、九か、二十歳を越えているかもしれない。よくわからない。華奢な艶めかしい手足は力無く投げ出されている。演技であるならどこかしらに力が入りそうだが、この肉体にはそれがない。さほど大きくない胸の膨らみが上下しているので息はあるようだが、脈は無い。手首を触り、首を触り、胸に耳を押し当ててみたが、それを見つけることはできなかった。  捲れ上がったワンピースの裾から伸びた、白い太腿に視線を落としたまま、男は思案する。 「どうやら、これは人間では無いな」
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