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スキンケア
「一斗って、スキンケアしてるの?」
「もちろんしてるよ。泊まった時、お風呂上がりにしてるの見てるじゃん」
「え?」
「理一には見えないものがあるのか」
「バカにするな」
「怒るな、怒るな」
我らが学び舎の休憩時間。泊まった、というワードが俺の口から出た瞬間、クラスの隅にいる女子たちがなんとも言えない悲鳴をあげた。
「メイクしてもらうんだから、土台はしっかりしとかないと」
「それ、ヘアメイクさんに同じこと言われたー」
「ただえさえ思春期なんだから、ほっといたら大変なことになるし」
「教えてよー」
「なに、へこんでるの?」
「うん」
机に突っ伏してしまう。可哀想な理一くんなので、頭を、いいこいいこ、と撫でてあげる。
悲鳴が上がらないなと、先ほどの女子たちを見やると既に妄想爆発のワールドに旅立っているようだった。
残念、サービスしようと思ったのに。
「慰めるなら、ちゃんと慰めてよ」
「ん?」
「違うこと考えてただろ」
「ああ、ごめんごめん」
「俺のことだけ考えてれば良いんだよ」
ちょっとドキッとしてしまったけど、俺は君の彼氏ですか。
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