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準主演
「一斗! 水くさいじゃん! なんで教えてくれなかったの」
校門前で俺を見つけたであろう理一が後ろから走ってきた。
「え? 何が」
「朝のワイドショーで観たよ!」
「え? なんか熱愛とか出た?」
「じゃなくて!!」
そもそも、ワイドショーで熱愛報道するほど、俺たちは知名度無いしとか、ほざきやがる。
朝から煩いなー、全くもう。
「とりあえず、落ち着けよ」
「来年の夏の舞台! 準主演おめでとう!」
「え? それ、誰かと勘違いしてない?」
「してない! 名前と一緒に宣材写真も出てたもん!」
「じゃあ、写真間違えてる?」
「いやいや、素直に認めてよー」
「いやっ、ほんとにっ、俺にはその予定は入っていません!」
一応、マネージャーからの業務連絡を確認しようとスマホを取り出すと、いきなり鳴り出した。
「誰から?」
「マネージャー」
「ごめん、それ、俺だったんだけど」
「そりゃそうだよ! おめでとう!!」
「世間より当人が知るのが遅いってどゆことよー」
「準主演なんてすごいよ」
「準主演だけど、ほぼ主演みたいはものらしい」
「すごいじゃん! さすが」
「しばらくバイト休むって言わないと」
「ずっと休めると良いね」
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