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仕事
「一斗、今日も泊まって行って良い?」
「悪い、この後バイトなんだわ」
「アパレル店員?」
「いや、接客向いてないって悟って辞めたよ。今はファミレスの厨房」
「一斗、ご飯作れたんだ」
「え!?今さらかよ!」
「いや、いっつも俺が作ってる気がするし」
「だって理一くぅんの作る料理は最&高なんで!」
真面目な顔で親指を俺に見せてきた。
なになに指紋認証? スマホを翳しにいく。
「アホか。シュワちゃんだよ」
「何それ。可愛い名前。どこの動物園?」
「さぁな。俺たちも檻の中にいるのかもな」
「は?」
「お前ももっと勉強しろよっ!」
スクールバッグから数冊の本を取り出して、俺に受け取れとばかりに差し出す。
「えー、小説かよ。漫画が良い」
「はぁ?! お前がキャスティングされたばっかりのやつの原作だぞ!! 実写化で泥塗られたって言われないためにも、せめて原作ファンアピールしとけ」
「俺、役者仕事まで受けるって言ってないのに」
「理一、君がお笑い担当になれるとは思いませんよ、ママは」
「一斗ママが言うならそうなんだろな。まだ芝居の方ができる?」
「もちろん。雰囲気あるし、発声もしっかりしてるし、良いんでないの?」
俺たち、二人とも芸能人だったりする。
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