爆モテと非リア充

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爆モテと非リア充

 一斗はよくモテる。  今日も今日とで後輩の女子が、俺に頼んできた。一斗先輩を体育館裏に呼び出せ、と。 「一斗くぅぅん、今日も体育館裏で待ってるわん! うふ。来てね、お願い」 「理一さ、キャラ設定が昭和すぎないか」  くねくねしながら近づいてくる俺を、とても蔑んだ目で見てくる一斗。 「最近、ようやく覚えた単語、JK!」 「株価ばっかり気にしてるおっさんかよ」 「それ以下の自信があるよ」 「親指突き立てるのやめろ、時代錯誤」 「シュワちゃん、観たばっかりだもん」  え、ちゃんと観たんだ! とばかりに一斗は目を見開いている。 「親指突き立てるのは、男性器の象徴でもあるらしいから、フェミニストの俺はやめることにした」 「またなんかメディアの影響でしょ? 自分持ってるようで影響受けやすいだから、全く」 「そういう君は誰の影響を受けて、そんなキモいキャラになってるわけ?」  あ、本当に嫌そうな顔をした。 「マネージャーに非リア感がすごいから、とりあえずウェイ系目指せって言われた」 「そんな風に言われて、その異次元語が理解できたの」 「とりあえず手探りだよね」 「だろうね」 「俺は俺のままじゃコンテンツとして弱いって」 「人に強いも弱いもあるかっ!」  確かに俺も商品価値下がってるけど、とボヤいている。 「芸能界に入った理由を聞かれたら、女の子にキャーキャー言われたかったからって言う準備してる」 「それで?」 「学校でもモテるでしょ?って重ねて聞かれたら、嘘はつけないっすねって言いたいんだけど、完全に嘘になるからどうしようかなとか考えてる」  小さくなっていく俺の声に被せるように一斗は大きな声を張り上げた。 「理一の夢は、一斗と共演すること!それだけ覚えとけっ」  そのまま教室を出て行った。  今日も相手に伝えるんだろう。  夢を叶えるために、他のこと考えてる余裕がない
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