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第1話
どうしても出口がみつからないのだ。もうずっと、おなじ場所をぐるぐるしている。どこへもいけないのだろうか。なぜ、こんなことになったのだろう。
たしか数時間前は、遊園地にいたはず。友人たちも一緒だった。
だが、しばらくすると、彼らは絶叫マシンの列にならんでしまった。
高所恐怖症のわたしをおいて。
みなの帰りを待つあいだ、ひとりでなにをしよう。
そう途方にくれているとき、この古めかしい洋館をみつけたのだ。
なんとなくお化け屋敷のような風情。ホラーな装飾がほどこされているというよりは、たんに手入れがされていなくて、おんぼろなだけの屋敷というかんじ。
看板には『ふしぎハウス』と、かかれている。
誰ひとり並んでいない。それどころか、スタッフもみあたらない。
「とりあえず、ここでいいか」
そのときは、たんに人気のないアトラクションだと思っていた。
しかしこれが、悪夢のはじまりになろうとは想像もしていなかった。
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