第2話

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第2話

ギィーーー きしむ扉をあけ、中にはいる。 「すみません。だれかいませんか」 呼んでみたが、返事はない。 どれだけほったらかしなアトラクションなのだろう。たしかに遊園地には、巨大迷路とか、ツリーハウスとか、ただ設置してあるだけのものもある。ここも、そのパターンだろうか。 b7deed45-1abb-40ca-8298-929d56c5b9a9 ボーン、ボーン、ボーン。 突然、どこからか音がした。携帯端末に目をやる。三時ちょうど。なるほど、時報か。 そのとたん…… バタン! 背後で大きな音をたて、扉が閉まった。びっくりして、ふりかえる。 「あれ?」 わたしは動揺した。なぜなら今入ってきたはずの扉が、そこにはなかった。ただの壁になっている。 「これはいったい、どういうことだ……?」 ひょっとして出口をさがすアトラクションなのか。扉が消えるなんて、いったいどういうしかけなのだろう。 まあ、いい。ゆっくり出口をさがすとしよう。 それにしても、うす暗い。まだ外はあかるかったはずなのに。 そうか、窓がないのだ。 唯一のあかりは、数メートルおきに設置された古ぼけたランプだけ。チカチカと、心もとなく、ともっている。なかなか気味の悪い演出。 ぼんやりと憂鬱な気分におおわれる。やる気が、急速になくなっていく。 どこまでいっても変わりばえのない廊下。これといって、部屋や戸の類はみあたらない。 廊下は、迷路のようになっている。やはり巨大迷路のアトラクションなのか。そうであるなら、まったく退屈だが、いずれ外に出られるだろう。
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