2人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
第2話
ギィーーー
きしむ扉をあけ、中にはいる。
「すみません。だれかいませんか」
呼んでみたが、返事はない。
どれだけほったらかしなアトラクションなのだろう。たしかに遊園地には、巨大迷路とか、ツリーハウスとか、ただ設置してあるだけのものもある。ここも、そのパターンだろうか。
ボーン、ボーン、ボーン。
突然、どこからか音がした。携帯端末に目をやる。三時ちょうど。なるほど、時報か。
そのとたん……
バタン!
背後で大きな音をたて、扉が閉まった。びっくりして、ふりかえる。
「あれ?」
わたしは動揺した。なぜなら今入ってきたはずの扉が、そこにはなかった。ただの壁になっている。
「これはいったい、どういうことだ……?」
ひょっとして出口をさがすアトラクションなのか。扉が消えるなんて、いったいどういうしかけなのだろう。
まあ、いい。ゆっくり出口をさがすとしよう。
それにしても、うす暗い。まだ外はあかるかったはずなのに。
そうか、窓がないのだ。
唯一のあかりは、数メートルおきに設置された古ぼけたランプだけ。チカチカと、心もとなく、ともっている。なかなか気味の悪い演出。
ぼんやりと憂鬱な気分におおわれる。やる気が、急速になくなっていく。
どこまでいっても変わりばえのない廊下。これといって、部屋や戸の類はみあたらない。
廊下は、迷路のようになっている。やはり巨大迷路のアトラクションなのか。そうであるなら、まったく退屈だが、いずれ外に出られるだろう。
![b7deed45-1abb-40ca-8298-929d56c5b9a9](https://img.estar.jp/public/user_upload/b7deed45-1abb-40ca-8298-929d56c5b9a9.jpg?width=800&format=jpg)
最初のコメントを投稿しよう!