第2章(片想い)

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「僕は、僕はいつになったら!!」 男の声は徐々に大きくなっていき、最後には叫び声になっていった。 「あぁぁ~!!」 (うわぁ、びっくりした。何なん?) ルナは頑張った。 いつもより凄く頑張った。 でも我慢の限界を超えてしまった。 「ちょっとあんた、さっきから何なん?大声なんか出して、むっちゃ迷惑なんやけど」 男の前に立ちはだかった。 ……つもりだった。 ルナは8歳の女の子。 相手は180㎝もある大男だった。 それでもルナは怯まず顔を上げて、男をにらみつけた。 「え?」 ルナの目は怒りから、驚きに変化した。 その男の目からはたくさんの涙が流れていた。 ルナが静かになったのが心配になったレイは、ゆっくりと駆け寄って行った。 (ルナ、大丈夫か?) (大丈夫じゃないかも……) レイはルナの後ろに隠れて、男を見上げると驚いてその場で固まってしまった。 (こいつ、泣いてるのか?) (イケメン……) (え?) (こんな近くでこんなイケメン見たの初めて!) (え?そこ?泣いてるからじゃなくて?) ルナは面食いだった。 ルナが地球に来たかった理由の上位は、美味しい食べ物を食べること、イケメンに会うことだった。 左手首の水色の数珠の一つが光っていることにルナが気づくのは、ずっと後のことになるがそれも仕方がないことだった。 「ごめん。人がいるのを知らなくて……」 大男は慌てて涙を手で拭うと深々とお辞儀をした。 「いいえ、こんなにイケメンだと知っていたら怒ったりなんかしなかったのに……」 (ルナ、何か間違っていないか?) (全然) レイはルナのズボンを噛んで引っ張ったが全く効果はなく、ルナが大男をじっと見つめている異様な光景の時間だけが過ぎていった。
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