第2章(片想い)

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回りの景色が夕日でオレンジ色に染まる頃、三人(二人と一匹)は公園のベンチに座っていた。 大男の正体は、この公園の近くに住んでいる、板垣こういちという名前の高校生だった。 ルナがイケメンと騒ぐだけあって、こういちはスラリと背の高い整った顔立ちをしていた。 いわゆる無自覚しょう油顔イケメン。 「何かカッコ悪いよね、僕」 こういちは頭をかきながら苦笑いした。 「全然そんなことないです。カッコいいです。とっても!」 (意味違うと思うけどな) レイの突っ込みはルナに届くことはなかった。 「話をまとめると、幼馴染みのそうこちゃんに毎日告白するために付きまとってるけど、うまくいかない。要するに彼女が欲しいってことですね!」 「ちょっと違う気もするけど、まぁ、そんな感じかな……」 こういちは苦笑いで答えた。 (こいつ、ストーカーだな) (イケメンは何しても許される) (はぁ?) (イケメンの特権や) (お前、頭大丈夫か?) (大丈夫に決まってるやん) 「こういちさん、私があなたの願いを今すぐ叶えましょう。私が彼女になってあげる!」 ルナはこういちの手を握って、ウィンクをした。 (やっぱり大丈夫じゃなかった……) レイはベンチに項垂れた。 こういちは一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに吹き出してお腹を抱えて笑い始めた。 「冗談じゃないのに!」 ルナは頬を膨らませて、こういちの手を振り払った。 (ご愁傷さま) レイはルナに叩かれるのを素早くキャッチし、ベンチから飛び降りた。 「ルナちゃんに話を聞いて貰って、ちょっとすっきりしたよ」 そう言って、こういちは笑顔でルナの頭を撫でた。 ルナの顔がみるみる内に真っ赤になっていった。 「こういちさん、私に出来ることがあったら、何でもいって下さいませ」 (下さいませ?) 「ありがとう、ルナちゃん」 こういちは立ち上がると、公園を出て行った。 ルナは小さくなっていくこういちの背中に向かって、 「私、この公園にいるから、いつでも来てね」 と大声で叫んだ。 こういちは前を向いたまま、手だけを上にあげて、左右に二回振るとそのまま去って行った。 (何してもイケメン。イケメン最強!) (はいはい……) その日、レイはルナに夜通しこういちの話を聞かされたことはいうまでもない。
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