5人が本棚に入れています
本棚に追加
三人(二人と一匹)は数日前と同じベンチに座った。
正しくは、一人と一匹は無理やり座らされていた。
「そろそろ何があったか、話してくれてもいいんじゃないでしょうか?」
(今日のルナの敬語は何だか怖いな)
「本当に何もないから」
こういちはそう言ってベンチから立とうとしたが、全く体が動かなかった。
「話すまで帰れませんよ」
鋭い目でこういちを見たルナだったが、目があった瞬間、にやけてしまった。
(顔を見たらあかん)
(はぁ……)
レイはその場に項垂れた。
ルナは視線をこういちから反らし、話を続けた。
「じゃ、こういちさん。私と付き合って下さい」
「え?」
(え?)
こういちとレイは、驚いた顔でルナを見た。
ルナは真剣な顔で、今度はこういちの目をじっと見つめて言った。
「だから、私と付き合って下さい!」
(お前、何とんちんかんなことをこのタイミングで言ってるんだ?)
(うるさい。レイはだまってて)
「ルナちゃん、気持ちは嬉しいけど、……ごめん」
静かにこういちはそう言うと、自分の足元を見つめた。
「……そうだよね。でも私を振ったからには、その理由を聞く権利はあるよね?」
(あぁ、そういうことか。さすがルナだな)
レイはうんうんと頷いて、こういちの様子を伺った。
「あぁ、なる程ね。……分かった。きちんと話すよ」
こういちは顔を上げて、ルナと向き合って座り直した。
ルナは驚きの顔から一瞬にして、にやけ顔に変化した。
(はぁ、見直した俺がばかだった)
最初のコメントを投稿しよう!