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こういちは先程のいきさつを簡潔に話した。
「そうなんや。こういちさんはそうこさんのこと本当に好きなんやな……。悔しいけど。でも前では素直になれないんか……。悔しいけど」
(ルナ、心の声が所々漏れてるぞ。それに関西弁に戻ってるし……)
(レイは黙ってて、ややこしくなるから)
(お前なぁ、俺もまぜてくれよ……)
(じゃ、まぜてあげるから、喋らんとじっとしといて)
レイはその場で固まるしかなくなった。
「こういちさん、ちゃんと話してくれてありがとう。じゃ、そのお礼にとっておきの私の秘密を教えてあげる」
「ルナちゃんの秘密?」
(おい、ルナ。大丈夫なのか?)
「ワン!」
「し!」
ルナは人さし指を口の前に立てて、レイを睨んだ。
レイはブルッと震えて、口を固く閉じた。
「実はね、私は魔法使いなんよ。誰にも言うたらあかんで。二人だけの秘密にしといてな」
レイは(俺もいるけどなと)反論したかったが、今回は我慢することにした。
こういちは苦笑いをして頷いた。
「うん、分かった」
「じゃ、これからこういちさんの願いを叶えるために魔法をかけるわ」
「はいはい。ルナちゃん、冗談はもういいから」
そう言って、こういちはベンチから立ち上がろうとしたが、またしても体が動かなかった。
今の状況を理解したこういちは、ルナに付き合うことを決意するしかなかった。
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