第2章(片想い)

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「さぁ、始めるで。こういちさん、目を閉じて。手の平を上にして膝の上に置いて、楽な姿勢で、まずは深呼吸から。鼻から大きく息を吸って、口からゆっくり息を吐いて。もう一回、鼻から大きく息を吸って、口からゆっくり息を吐いて。それを何度か繰り返して」 困惑しながらもこういちはルナの言う通りに身を任せた。 ルナも深呼吸をし、心を落ち着かせた。 「そしてそうこさんとどういう関係になりたいか、具体的にイメージして。わくわくうきうきする感情を忘れやんといてね」 ルナはそう言うと、こういちの頭に向かって手をかざした。 ルナの手から光が出て、こういちの頭上からその光が体の中に入っていき、黒い煙のようなものが足の先から出てきた。 ルナはその黒い煙を空に向かって投げると、その煙は金色に変わり宇宙に消えていった。 「イメージしたことが現実になるからポジティブな感情でいっぱいに」 こういちは次第にルナのペースにのせられて、そうこと付き合って、映画を見に行ったり、カラオケで歌ったり、一緒に楽しく過ごしているイメージをしていた。 こういちの顔が笑顔になり、こういち自身が光に包まれていった。 その光景をルナとレイは静かに見守った。
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