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次の日、こういちはそうこと手を繋いで公園にやってきた。
二人は笑顔で何かを話している。
それから間もなく二人は手を振り、そうこは公園から出ていった。
こういちはルナとレイを見つけると、手を振りながら近づいてきた。
(うまくいったみたいだな)
(そうやな、悔しいけど……)
(お前なぁ……)
「ルナちゃん、本当に本当にありがとう。そうこに初めて自分の気持ちをきちんと伝えることが出来たんだ。全てルナちゃんのおかげだよ」
こういちはルナの手を握って、何度も頭を下げた。
ルナの顔はみるみる内に真っ赤になっていった。
(正直な奴だな)
(こんなイケメンに手を握られてるんやで。体温上がるに決まってるやん)
(はいはい……)
「こういちさん、むっちゃ喜んでくれてるところ悪いんやけど……。実はね、私、本当は魔法使い違うんよ。嘘ついてごめんなさい」
「え?」
「私の魔法がきいたんじゃなくて、こういちさんがちゃんと自分の気持ちを正直に伝えたから、うまくいったんやで。魔法が使えるのは私じゃなくてこういちさんなんやで」
「ルナちゃん?」
「人間が魔法なんか使える訳ないやんって思ってるかも知れへんけど、それは違うで。みんな使えるけど使い方を忘れてるだけなんよ。だから、これからもどんどん使って、そうこさんと素敵な思い出をいっぱいつくってね。出来れば私との思い出も覚えててくれたらむっちゃ嬉しいけど……」
「ルナちゃんの言ってることは何だかよく分からないけど、でもルナちゃんのことは絶対に忘れないよ」
こういちはルナの手を、ぎゅっと握った。
「ありがとう。その言葉だけで十分やわ」
ルナは心が温かくなっていくのを感じながら、こういちににっこりと微笑んだ。
その瞬間、こういちのズボンのポケットから光の光線が出て、空高く消えていった。
その瞬間、こういちは急に驚いた顔をしてルナの手を離すと、逃げるように公園から出ていった 。
(ルナ、大丈夫か?)
(うん)
(本当に?)
(……大丈夫ちゃうかも)
ルナの目から涙が次々と溢れてこぼれ落ちた。
その場にうずくまると、ルナは大声をあげて泣き出した。
レイは何も出来ず、その場でおろおろするしかなかった。
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