第1章(友達)

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第1章(友達)

第一章 ルナが辿り着いたのは、大きな公園だった。 公園の入口に江戸川公園と記されていた。 (あれ?夢の国に向かってたのに、周りには木しかないなぁ。もしかして間違った?まあ、初めてにしては上出来ってことで) ルナは宇宙一、ポジティブだった。 それよりも、憧れの人間の姿にわくわくが隠せなかった。 兄にどんな人間にも変身出来ると言われて、日本のファッション誌を片っ端から見て、一目惚れした子に決めた。 見た目は8歳くらいの女の子で、髪は肩までの長さ。 茶色の髪の毛はブルーのゴムで後ろに1つに束ねている。 目はぱっちり二重まぶたで、高い鼻。 控え目な唇。 服装はブルージーンズにTシャツ、白いくつ下にブルーのスニーカー。 大きめの肩掛けカバンの中には小さめの水晶玉10個が入っている赤い袋とオラクルカードが入っている。 左手首には水色の数珠。 (大満足。ちょっと休憩してから始めようかな) 周りを見渡して、ベンチを見つけたルナは一歩あるくと何かに当たった。 (痛いっ) (え?) 足元を見ると、黒いチワワがルナをにらんでいる。 (ごめん、ごめん。大丈夫?) ルナはチワワを抱き上げて頭を撫でた。 (これからは気を付けろよ。ルナに踏まれたら死ぬだろ) (え?あなたもテレパシー使えるん?って、どうして私の名前を知ってるん?) (なに言ってるんだ。俺はレイだ) ルナの体は一瞬で氷のように固まった。 (おーい、固まるなよ。お前の兄さんに頼まれたから、仕方なく着いてきてやったんだぞ。有り難く思えよ) (あり得やん。こんな状況、絶対にあり得やん) ルナは10分間、その場から動けなかった。 レイは犬の体が気に入ったのか、公園を駆け回っている。 レイはルナの幼なじみでライバル的な存在だった。 今まで何をしてもルナはレイに勝てたことがなかった。
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