第3章 (彼氏との仲)

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「お腹も大きくなったことやし、運動がてらにこの公園の浄化でもしとくか~」 ルナは大きく腕を伸ばして、深呼吸した。 (俺はお腹がぺこぺこなんだけど気のせいかな?) (気のせい、気のせい) (はぁ……) レイは残りの気力を振り絞って立ち上がった。 二人(一人と一匹)は手分けして、公園の浄化に励んでいると、ため息をつきながら先程の美女がふらふらしながら通りすぎた。 (やっぱり綺麗だ) レイは口を開けてただただ見惚れた。 (どこがよ) ルナはレイを睨み付けた瞬間、公園の出口でいきなりその美女は倒れた。 レイは慌てて駆けつけたが、何も出来ない。 ルナはひたすら浄化をしている。 (おい、ルナ。お前見殺しにするつもりじゃないだろうな。いくらこの人がお前より綺麗だからってそれは違うだろう) (うるさい。私には関係ないし) (嘘だろう……) レイは大きく深呼吸をしてゆっくり息を吐き出した。 (ルナ、俺が悪かった。お前の方が10倍いいや、100倍綺麗だよ。俺はどうかしていたみたいだ。本当に申し訳ございません) ルナはレイの方を振り向くと、にっこりと微笑んだ。 (しゃーないなぁ。間違いを認めたから今回だけは許しちゃるけど、次はないから) (ありがとうございます、ルナ様!) ルナは大きく鼻から空気を吸うと、ゆっくりと口から息を出した。 そして、美女の体に手のひらを向けた。 美女の体は地面から少しずつ浮いていき、ベンチの上に移動した。 ルナの掌から出た光は、美女の体全体に降り注がれている。 光のカプセルのように次第に輝きを増し、少しずつ消えていった。 しばらくして、美女はゆっくりと目を開けた。 「え?ここは?」 美女は驚いた顔で目の前の二人(一人と一匹)を見つめた。 「あの……」 「あんた一体なんなん?」 ルナは美女を睨み付けて低い声で言った。 (ルナ、いきなり何を言うんだよ) 「え?何?」 美女は初対面の、しかも子供に睨み付けられている光景に納得がいかなかった。 起き上がりながら、ルナに向かって暴言をはいた。 「そう言うあなたは何?」 「はぁ、命の恩人に向かって、なに言うてんの?何様?」 (ルナ!) (私が悪いん?) 「助けてなんて言ってないけど」 レイは二人の回りをウロウロするしかなかった。 美女はルナを睨み付けて、その場から早足に立ち去っていった。 (何なん、あの女。性格悪すぎやわ) (ルナが先に仕掛けたんだろ) (私が悪いって言いたいん?) (そういう訳じゃないけど……) ルナはレイを睨み付けて、残りの浄化を始めた。 レイは深いため息をついて、ルナを見つめた。 その日の夜、レイはルナの愚痴を夜通し聞くことになったのは言うまでもない。
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