第3章 (彼氏との仲)

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次の日、朝からしとしと降りだした雨は昼過ぎにはどしゃ降りの雨になっていた。 ルナとレイはその日は仕方なくテントを張って雨宿りをしていた。 険悪な雰囲気の中、二人はじっと雨が止むのを待っていた。 ようやく夕方頃に雨あしが弱まり、二人(一人と一匹)はテントから出ることが出来た。 固まった体を動かしていると、昨日の美女がふらふらと公園に入って来て、ベンチに座り込んだ。 (ルナ、あの人何だか様子が変だぞ) レイは慌て美女に駆け寄った。 (あんな女のことなんか知らんわ) ルナは構わず体を動かしていた。 ドサッという音と共に美女は地面に倒れ込んだ。 (ルナ!) (うるさいなぁ) (ルナ、どうしたんだよ?お前らしくないぞ) 「私らしいって何なんよ!」 ルナは我慢出来なくて、声に出して叫んだ。 (ルナ……) レイは美女の横でただじっと見守るしかなかった。 その時、ルナの左手首の水色の数珠の一つが光った。 (あぁ……、もう、本当に一体何なんよ) ルナは怒りながらも、美女の方に手をかざした。 光が美女に降り注ぎ、次第に光のカプセルになっていく。 そのままルナは美女をテントの中に移動させた。 美女の顔は次第に色味を増し、苦しそうな表情が消えていった。 しばらくすると美女は目を覚ました。 「あんた……」 (ルナ!) ルナの声をレイが素早く遮った。 ルナはレイを睨みつけ、仕方なく口を閉ざした。 「あなたは昨日の……」 美女は起き上がり、自分の体の変化に気付いた。 「あれ?何だか体が軽くなってるような……」 「当たり前やん。たっぷり浄化したからなぁ」 「浄化?」 「そう、浄化。あんた、自分の体、もっと大事にしなーよ」 「私のことなんか、ほっといてよ。どうせ…」 それだけ言って、美女は下を向いた。 (ルナ、なんか事情があるみたいだぞ) (もう、面倒くさいなぁ。はぁ……)
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