5人が本棚に入れています
本棚に追加
美女の名前は河田ちひろといった。
この近くに住む大学生だった。
ちひろは下を向いたまま、ゆっくりと口を開いた。
「彼氏と別れないと……」
彼氏とは、かいとという名前の同級生だった。
(え?)
レイは目を輝かせた。
(喜んでもあかんで。あんたにチャンスが訪れることは一生ないんやから)
ルナはにやっと笑った。
でも今のレイには何の効果もなかった。
それ程ちひろに夢中っだったのだ。
「理由は?」
「……特に」
「はぁ?理由もないのに別れたい?あんた何様なんよ。綺麗やから何してもいいっていうん?」
ルナは立ち上がってちひろの腕を掴んで立たせた。
「もう歩けるやろうから帰れば」
「私のこと何も知らないのに……」
ちひろはそう言うとよろよろとしながらテントを出て行った。
(ルナ、お前なぁ)
レイは慌てちひろを追いかけた。
「なんよ、また私が悪いん?失恋した人の気持ちは?もう、ほんまになんなんよ!」
ルナはテントから出て二人(一人と一匹)を追いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!