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ちひろは下を向いてベンチに座っていた。
レイはその回りをうろうろすることしか出来なかった。
「あんたはそれでいいかも知れへんけど、かいとさんの気持ちをちょっとでも考えたん?」
ルナはちひろに近づきながら大きな声を張り上げた。
ちひろは何も答えなかった。
「かいとさんのこと好きやから付き合ったん違うん?それか誰でも良かったん?まぁ、綺麗やから選り取りみどりやもんなぁ」
「違う!」
ちひろは顔を上げて叫んだ。
「誰でも良かったんじゃない。でも……」
「でも何なんよ」
「私といたら彼に迷惑かかるから……」
「迷惑?何の?」
ルナはちひろの横に座り、ちひろを見つめた。
ちひろは涙を流しながら、少しずつ話を始めた。
ちひろは生まれた瞬間から美女だった。
異性に好かれる度に同性に妬まれ、そのせいで傷つくことが多く、次第に人との距離をあけるようにしていた。
そこから救い出してくれたのが今の彼氏のかいとだった。
「かいとさんがいじめられてる?」
「私のせいで……」
「ほんまにあんたのせいなん?勘違いしてへん?」
「え?」
ちひろは驚いた顔をしてルナを見つめた。
「それにいじめられて傷ついてる人に別れを切り出すあんたの方がもっと酷いと思うわ」
「それは……」
「今の状況から逃げても何も解決せーへんで。立ち向かわな」
「立ち向かう?」
「そう、立ち向かう。あんたとかいとさんの未来の為にな。しゃーないなぁ。とっておきの秘密を教えちゃるわ。実は私、魔法使いなんよ」
ちひろは意味が分からなくて、ただルナを見つめていた。
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