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あれから30分が経ち、ルナはかざしていた手を下ろした。
「ちひろさん、ゆっくり目を開けていいで」
(ルナ、初めて名前で呼んだな)
(うるさい)
「うん、何だか凄くいい気分。ありがとう。これがルナちゃんが言ってた魔法なんだね」
初めて見るちひろの笑顔に、ルナは戸惑いをかくせなかった。
(悔しいけど美女は認めるわ)
(偉い、ルナ。俺としては残念な気もするが……。せっかくのチャンスだったのに……。でもちひろが笑顔になったからよしとするか)
レイはこの光景に満足していた。
「ちひろさん、これあげるわ」
ルナは鞄から赤い袋を出し、その中から水晶玉を一つ取り出して、ちひろに手渡した。
「ちひろさんの願いが叶うまで、これ持っといて。まぁ、お守りみたいなもん」
ちひろは水晶玉を受け取りにっこり微笑んだ。
「うん、分かった。色々ありがとう。ルナちゃん」
そう言うと、ちひろはベンチから立ち上がった。
「いつもポジティブな気持ちを忘れないようにな」
「うん」
そして、ちひろは大きく手を振りながら、公園を出て行った。
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