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数日後、ルナとレイは広い公園の浄化を終えた。
(今回は広かったから結構時間かかったわ)
(そうだな)
(そろそろ明日くらいに夢の国に向かって出発しやなあかんな)
(ちひろを待たないのか?)
(大丈夫やろ)
(お前は相変わらず、ちひろには冷たいなぁ)
(うるさい)
ルナはレイを睨んで追い回した。
その時、二人(一人と一匹)に近づいてくる人の気配を感じた二人は同時に立ち止まった。
ちひろとかいとらしき人が手をつないで二人(一人と一匹)を見ている。
「ルナちゃん、レイ君」
ちひろはとびっきりの笑顔で二人の前にやってきた。
かいとは二人(一人と一匹)にそれぞれ礼をしてその場を離れた。
「ありがとう、ルナちゃん。本当にありがとう」
ちひろは涙を流して、ルナの手を握った。
「ちひろさん、むっちゃ喜んでくれてるところ悪いんやけど……。実はね、私、本当は魔法使い違うんよ」
「え?」
「私の魔法がきいたんじゃなくて、ちひろさんがちゃんと自分の正直な気持ちに向き合ったからうまくいったんやで。逃げないで闘ったから。実は魔法が使えるのは私じゃなくてちひろさんなんやで」
「ルナちゃん?」
「人間が魔法なんか使える訳ないやんって思ってるかも知れへんけど、それは違う。みんな使えるけど使い方を忘れてるだけなんよ。だから、これからもどんどん使って、かいとさんと素敵な思い出をいっぱいつくって幸せになってな」
「ルナちゃんの言ってること、何となく分かるような気がする。でも今回はルナちゃんの魔法のおかげだよ。ルナちゃんに出会えて本当に良かった。ありがとう」
ちひろはルナの手を、ぎゅっと握った。
「ありがとう。その言葉胸に突き刺さるわ。凄くいい意味で」
ルナは心が温かくなっていくのを感じながら、ちひろににっこりと微笑んだ。
その瞬間、ちひろのスカートのポケットから光の光線が出て、空高く消えていった。
ちひろは急に驚いた顔をしてルナの手を離すと、逃げるようにベンチに座っているかいとの方に走って行った 。
(ルナ、大丈夫か?)
(うん)
(本当に?)
(うん、そろそろ慣れてきたわ)
言葉と裏腹に、ルナの目から涙が次々と溢れてこぼれ落ちた。
ルナは慌ててテントに向かって走った。
テントの中で声を押し殺して泣いていルナに、レイは何も出来ず、その場でおろおろするしかなかった。
(俺はいつも情けないな)
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