第4章(家族との絆)

4/5
前へ
/37ページ
次へ
二人(一人と一匹)は慌て男性に駆け寄った。 男性は弱々しい呼吸で、ぐったりとしている。 (ルナ!) (分かってる) ルナは、周りを見渡して、誰もいないことを確認すると、男性に向かって両手をかざした。 男性はゆっくりと地面から浮き上がり、ベンチの上に横たわった。 物凄い量の光線がルナの手から出て、その男性の体に降り注いでいる。 男性の体は光のカプセルに包まれると、次第に穏やかな顔に変化していった。 (良かったな。大丈夫そうだな) (うん、ちょっと焦ったけど何とかなったわ) 光は徐々に消えてなくなっていった。 ルナとレイは男性の様子を伺いながら、公園の残りの浄化を始めた。 一時間後、男性は目を覚ました。 ゆっくりと体を起こし、回りを見渡している。 自分の体の異変に気付いたのか、頭を傾げながら、乾いている服を触ったり、立ち上がって体を動かしている。 ルナは浄化を中断して、男性に向かって行った。 「大丈夫?」 男性は辺りを見渡して、自分に向けられた言葉だと気付くと慌てて答えた。 「あぁ、大丈夫だよ」 「そうなんや。で、原因は何なん?」 男性はルナの言葉の意味が分からないようで、困惑した顔をした。 「えっと……」 「だから、倒れた原因は何なんって聞いてるんやけど」 「倒れた?あぁ、私は倒れていたんですか。そうですか……」 男性は自分に何が起こったのかまだ理解が出来ない様子だった。 レイはただならぬ雰囲気を感じて、慌ててルナに駆け寄った。 (ルナ、目覚めてすぐだから、まだ頭が回らないんだよ。言葉を選んで話をした方がいいぞ) (分かってる。うるさい) ルナはレイを睨み付けてから、 「だから何で倒れたんって聞いてるんやけど?」 その男性にも鋭い目付きで問いかけた。 (全然分かってない……) レイは男性に同情するしかなかった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加