5人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の午後、いえりがまこと手をつないで公園にやってきた。
(良かった。仲直りできたんや)
(みたいだな)
いえりはルナの方を見て、にっこり微笑んだ。
「ルナちゃん、一緒に遊ぼう」
「え、いいん?嬉しい」
それから、三人でかくれんぼや鬼ごっこをして楽しい時間を過ごした。
その間、レイがルナの後をずっと追いかけて(俺もまぜろ)と言っていたが、ルナは聞こえない振りをし続けた。
「そろそろ帰らないと……」
いえりの一言で、その場はお開きになった。
「ルナちゃん、ありがとう。また遊ぼうね」
「うん、いえりちゃん、まこちゃん、また遊ぼな」
ルナはいえりとまこに手を振り、笑顔で答えた瞬間、いえりのスカートから光の光線が出て、空高く消えていった。
いえりとまこは急に驚いた顔をして、ルナを避けるように公園から出て行った。
「あっ……」
(ルナ、仕方ないよ。俺達はいずれ地球を去るのだから)
(なんか悲しいなぁ。地球で初めての友達が出来たと思ったのに)
(お前、もしかして泣いてるのか?)
(まさか、泣くわけ……)
ルナの頬に涙が一粒こぼれ落ちた。
(鬼の目にも涙か?)
(うるさい、泣いてないって言うてるやろ)
ルナはレイを蹴ろうとしたが、素早く逃げられてその場に転けてしまった。
「レイのバカ!」
(バカ違う)
レイはルナの周りをくるくると回った。
ルナはその場に寝転がり、空を見上げた。
(いえりちゃんが忘れても、俺達が覚えているからいいんじゃないか?)
(……うん、そうやな。たまには良いこと言うやん)
(そうだろう、たまにではないけどな)
(たまにやん)
(たまにと違う)
(たまにやん)
(だから、たまにと違うって)
二人は言い合いをしながら笑った。
空が夕日で真っ赤に染まってきていた。
最初のコメントを投稿しよう!