ロスト・メモリ

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健斗はお菓子売り場を物色すると、適当につかんだチョコレートを制服のポケットに突っ込んだ。 「それ、どうするつもり?」 そのとき、私服でスーパー内を見回っていた警備員に捕まった。 そのことを知った先輩は、健斗を見捨てて他の仲間を連れて逃げ去ってしまった。 たまたま健斗だけが捕まってしまったけれど、健斗の単独犯ではないことが、防犯カメラの映像でスーパーの店長にバレていた。 主犯が誰なのか、スーパーの店長にしつこく問い詰められても、健斗は先輩のことを話さなかった。 初犯だったのと、まだ十二歳だということで、今回は多めに見てもらえたけれど……今日のことに関しては、健斗の考えが甘かった。 母親に愚痴を言われなくても、スーパーの店長に説教されなくても、健斗自身がそれを一番よく理解していた。
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