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「この度は本当に申し訳ありませんでした」
大型スーパーの事務所に健斗を迎えにきた母親が、店長と担任教師の前で深々と頭を下げた。
「健斗くんとは先生も交えてお話をしましたから。今日はもう帰っていいですよ」
「本当に申し訳ありませんでした。二度とないように、厳しく注意しますので」
「今回は誘いを断れなかったとか、彼にも事情があるかと思うので。ご家庭でもよく話を聞いてあげてください」
「いえ。私の躾不足です。本当に申し訳ありませんでした」
隣で深く頭を下げる母の横顔を見遣る健斗の目は冷ややかだった。
相手に何か言われるたびに定型分のような謝罪の言葉を述べて、一貫して低姿勢を崩さない母親。
機械的に何度も頭を下げる母に心から詫びる気持ちなどないことが、健斗にはよくわかっていた。
この人はただ、体裁を守りたいだけだ。
自分は母親としての務めをきちんと果たしている。そのことを少しでも他人の意識に印象付けたいだけ。
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