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「あなたもちゃんと謝りなさい」
制服のズボンのポケットに手を入れて、不貞腐れた顔で立っている健斗を、母がものすごい形相で睨む。
ここにやって来た母が健斗を見たのは、その瞬間が初めてだった。
数秒その顔を無言で睨み返した健斗だったが、健斗だってこの場所に長居したいわけではない。早く家に帰って、音楽を聞くかゲームでもしたい。
母親が迎えに来るまで、こんこんと、ウザいくらいに説教を垂れてきた大型スーパーの店長と、その隣でずっと困惑顔で黙っているだけだった担任を見上げる。
「すみませんでした」
形式的に口にした健斗の言葉に、反省の気持ちなど全くこもっていなかった。
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