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プロローグ
西暦2013年10月10日。
中学校生活にもすっかり慣れた今日この頃の放課後、再来週開催される体育祭に向けて俺は、友人の龍(リョウ)、はすみ、健人(ケント)と一緒にクラスの看板作りに励んでいた。
「おい、龍。なに学校にスマホなんか持ってきてんだよ。取り上げられんぞ?」
「へーきへーき! ここ四階だから、あんま先生来ねーし。しかも今会議中だし」
スマホのテレビを見て、看板作りをサボっている龍を横目にため息を吐くと、俺は仕上げとなる言葉を書き終えた。
『限界突破で目指せ優勝! 皆で優笑!』
結局、看板を描いたのは、俺とはすみだけ。
健人は絵の具やら筆やらを借りに備品室や他クラスに走り回ってくれたから良しとして、問題は龍だ。
「てめぇ、後で運ぶのくらいは手伝えよな! 看板係に立候補するだけしてサボりやがって」
「へいへーい。ま、先生たちまだ職員会議中だし、のんびりテレビでも見ましょうや」
「ったく」
睨みつける俺を龍はクスッと笑うと、行儀悪く座っていた机から降りて、俺らにスマホの画面を見せてきた。
「はーい! これでお前らも同罪!」
「死ね」
はすみが龍に言い放つと龍はようやく大人しくなり、そんな光景が可笑しくて、俺は思わず吹き出した。
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