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始まり
恋。
それは、甘くて切ないものだと、誰もが言う。
「なぁ、真。お前さ、好きな人いるのかよ」
「なんだよ、急に」
「いや、ちょっと気になってさ」
公園の砂を足で少し削りながら、真に向かって呟く。
「別にいないけど。そういうお前はどうなんだよ」
「俺か? 俺はいるぜ。絶世の美女、天月 風音ちゃんさ」
誇らしげに真に向かって、微笑んで見せた。
「それは、アイドルだし俺らより大人じゃん? 現実的に考えろって」
呆れながら真はブランコを漕ぎ出す。
「例えば、うちの学校とかさ」
「え~? そんなのいるわけないじゃん」
真の言葉に笑って答えた。
「ほらいないんじゃん。そんなもんなんだって」
「そんなもんかなぁ」
僕らは幼い人間だった。小学生のガキみたいな発言が
当たり前で、なおかつ自然だと信じて疑っていなかった。
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