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馬運車は、着々と関西に向けて進んでいたが、その雨脚は更に強くなり、中部地方に入ると雨粒が車体にぶつかり、独特の音が車内に響いていた。
シュバは立っていることに疲れたのか、腰を下ろして目の前の姉馬を眺めている。
『そういえば、姉さんとペルルはバスタードブラックさんと走るの、これが初めてだよね?』
チャチャカグヤとラ・コンテス・ド・ペルルはお互いを見合ってから頷いた。
『ええ、そうです』
『実は、少し前に彼のレースを見たんだけど…走法が少し変わっていたんだ』
ヒダカダーロの目がシュバに向いた。
『それ、まさか、更に速くなってるってことか!?』
シュバは少し間を置いた。
『それが、それほど速くなる走法じゃないように思えるんだ』
馬運車の中を沈黙が支配した。誰もが、シュバの口にした不可解な言葉の意味を考えているのだろう。
その沈黙は、およそ4秒後にペルルが破った。
『それはつまり…』
『阪神競馬場に、何か秘密があるのかもしれない』
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