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月一族の親子
東京競馬場の片隅で、タブレット端末を操作する栗毛馬がいた。
その名はシュバババババババ。なぜ、こんな名前になったのかは、ここでは割愛させてもらおう。
彼は、鼻先でディスプレイを器用に動かしながら、先ほどチャチャカグヤが出ていたレースを、しっかりと保存できているかを見返しているようだ。
隣に立っていた騎手、新発田恵も頷いた。
「バッチリ撮れてるね」
『これで、姉さんの雄姿をたっぷりと拝見できるね』
『今、戻りました』
シュバと恵の前に、その姉馬チャチャカグヤが姿を見せた。
彼女は肩から目黒ステークスの真っ赤な優勝レイを下げており、栗色の馬体や、白いたてがみや尻尾がより際立って見える。
騎手の武田三四郎はもちろん、柿崎オーナーや娘のツバメも、いつになく上機嫌な様子だった。
「とりあえず、トレセンに戻ろう」
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