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全ての災厄の根源とまで謳われた史上最大、最強の魔女 アナスタシア・ヴォワザが討ち取られた。しかし、その呪いは凄まじく、討伐隊のメンバー全員が失明し不具になっただけでは留まらなかった。その影響は世界中に飛散したのだ。
それは、人の形に凝縮されていた災いを、バラバラにして世界中にばら蒔いただけの愚かな蛮行に過ぎなかったのかも知れない。
アナスタシア・ヴォワザの血を大地に触れさせた事により、この世界に存在する食物の9割が毒性を帯びるようになり全生物の6割が人間に危害を加える魔物と化した。
今世紀最大の魔女は、自分の死と引き換えに、世界を邪悪な自分の色に汚染して去っていったのだ。
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世界に向けた呪詛の詩を一斉に歌い上げる農作物。見渡す限りの広大な農地から今日も聴こえてくる。
葡萄園に近づけば、木々が貧民窟の穢れた売春婦のように口汚く罵ってきた。
庶民たちは、毒を受ける事を覚悟しながら、それらの禍々しいものたちを日々口にしている。食べ物に罵られながら。
七王が招集され、世界会議が開催された。幾度も戦争を繰り返してきた七大国も、このときばかりは休戦し手を取り合って、知恵を結集せざるおえなかった。
このままでは人類は飢え死にするか、あるいは体内に蓄積した毒素で病に倒れていくか、どちらかの選択肢しかないのだ。
七大王たちが出した結論。それは、古代の禁呪法を用いて異世界への扉を開き、異界の食物を我が世界に持ち込む事、であった。
しかし、異世界の食物を口にする事、それには命がけのリスクがつきまとった。どの食物が安全でどの食物が毒になるのか、まるで未知なのだ。
毒味役がいる。毒にあたって死んでしまっても差し支えのない毒味役が。
そこで、七大国は、それぞれの領民のなかから最悪の凶悪犯罪者、本来なら処刑されるはずの極悪人を選び出して毒味役として差し出す事になった。
異世界の食物を命がけで選別する、7人の毒味囚の誕生だった。
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