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底流で繋がってるとされる人類の無意識層に、己の肖像を刻みつけた。そんな超有名人の顔がそこに現れた。
四半世紀も前から超S級の賞金首としてビンゴブックの最上位に名を連ねていた男。
海賊王ガルディアス。
まさか捕まっていたとは。
巨大な身体は傷の見本市みたいな様相。丸太のような腕。スキンヘッド。あまりの圧倒的な風格に、思わず頭を垂れそうになる。
「・・・・・・ずいぶん懐かしい顔があるじゃねえか。慈善事業家のゴランちゃん」
自分が、それほど名を知られているとは思わなかった。海賊王に顔を覚えられているとは。人間、どこで誰に見られているか分からない。
海賊王を皮切りに、次々と食卓に連行されてくるその顔ぶれは、暗黒世界の超大物ばかり。ほとんど闇のオールスターといったところ。
この中で、間違いなく俺が最も小物だろう。
世紀の女怪盗フーディーン。山賊の王シャダリ。暗黒社会の帝王ビト。悪魔崇拝教会の法王ネクロ。
食卓に着く顔ぶれのどれもが裏偉人伝で大きな紙幅を割かれるべき人物たち。俺は刻々と肩幅が狭くなるような圧迫感を覚えた。
だが最後、現れた顔に拍子抜けする。7つ目の席を埋めたのは見知らぬ顔の少女だ。裏偉人伝に名を連ねるための罪業稼ぎにはいささか時間不足だろう。どう見ても幼稚舎出たてといった年齢だから。
「これだけのメンツを集めて、託児所でもやらせようって腹じゃねえよな?」
ガルディアスが大笑いした拍子に、首筋のタトゥーが見えた。聖母に喰らいつく666の獣が描かれた絵柄だった。
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