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「これが、沈まぬ月限定スイーツ『満月のこども』じゃよ」
（ふあぁぁぁぁ……‼ こ、これが、あの噂の限定スイーツっ……‼）
シシィの口がだらしなく緩む。
白い皿にズラッと並べられているのは、マカロンのような丸いミニレモンケーキだった。
輪切りにしたプチレモンで黄色い生地を挟んでいる。スポンジ生地というより、クッキー生地に近そうな見た目だ。生地と生地の間には黄色いつぶつぶ入りのクリームが見えた。レモンの皮を刻んで混ぜているようだ。
――じゅるり
シシィは口の端からこぼれ落ちそうになった雫を慌てて回収する。
「プチレモンはね、さとうづけなのよ！ ちょっと苦いけど、甘くって、おとなの味って感じでさいっこうなんだから！」
少女はそう言ってケーキを一つ摘まむと、ぽいっと口の中に放り込んだ。
「ふふふふ、おいひぃ！」
「こらっ、お行儀悪いわよ！」
母親にたしなめられても、少女はニコニコ顔のままだ。
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