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3.露店街
「わぁぁぁ、美味しそう……!」
ズラリと並んだ屋台を前に、シシィはペロリと舌なめずりをした。
肉の丸焼きを売る店、香辛料漂うスープを大鍋で掻き混ぜる店、様々な屋台が石畳の路地を占領している。食欲をそそる香りがそこら中から立ち上り、人々のざわめきの奥からは笛と太鼓の軽快な音楽が流れてきていた。
夕闇に沈む街は、祭りに賑わいに活気づいている。
(ワクワクしちゃうっ!)
シシィは落ち着きなく辺りを見回す。すると、
――ぐぅぅぅ~くぅ~きゅるるるるる
シシィのお腹が盛大に空腹を主張した。
「ハッハッハッ! すげぇな音だなぁ、お嬢ちゃん!」
屋台のおじちゃんにも聞こえてしまったらしい。豪快に笑われてしまった。少しばかりバツが悪い。しかし、
「どうだい、味見してくかい?」
というおじちゃんの言葉に、胸をかすめた気まずさは一瞬のうちに空の彼方に飛んでいった。
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