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「半熟卵の肉巻き、うまいぞ!」
「半熟っ!」
シシィの瞳孔がカッと広がった。
鉄板の上で炙られていた肉の串焼きが目の前に差し出される。
シシィのだらしなく開いた口から、ヨダレが一本の糸となって垂れ下がった。
団子のように串に三つ刺さった肉が、ランタンの明かりに照らされて、テラテラと輝いている。たっぷりとタレが絡まっているらしい。
「手乗り鶏の卵を肉で巻いた一品だよ! 卵は今朝取れた新鮮そのもの! 濃厚卵と秘伝のタレとの相性は抜群だぜ!」
おじちゃんは串を片手に熱弁を振るう。
ふと隣を見れば、つい今しがた買ったらしい肉巻きを頬張っている人がいる。
はふはふ、とがっついている口元は、とろっと垂れ出た黄身と茶色のタレでベタベタになっていた。
(お、美味しそう……!)
シシィはゴクリ、と生唾を飲み込んだ。
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