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「ほぅれ、遠慮はいらんぞ!」
「私も手伝った自信作よ! 食べて食べて!」
おじいちゃんと見習い娘に促され、シシィはソロソロとケーキに手を伸ばす。
(一度は諦めた限定スイーツ……)
緊張で指先が震える。シシィはゴクリ、と唾を飲み込んだ。
慎重に、一つ、レモンケーキを手に取り、意を決してパクッと口に入れた。次の瞬間、
「っ‼」
シシィの頬が一気に上気する。
「んん~‼ ほっぺが落ちちゃう……っ!」
シシィはうっとりと目を細め、頬を押さえた。
(クリームの甘さにレモンの爽やかさが合わさって何個でも食べられそうだわ……!)
恍惚とした表情で、ゆっくりと咀嚼する。
――じゃりっ、さくっ
シシィの口元がゆっくりと弧を描く。
(それに、この、砂糖漬けされたレモンとクッキー生地の触感っ……! シャリシャリとさくほろの組み合わせ、最高だわっ……‼)
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