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「んふ、んふふふふふっ、ふふふふふっ」
シシィの口から知らず知らずのうちに声が漏れる。
「幸せそうじゃのぅ~」
目を潤ませながらケーキを堪能するシシィを見て、おじいちゃんは満足げに頷いた。迷子少女の母親も微笑を浮かべる。
「喜んでもらえて良かったわ」
「たくさんあるから、たくさん食べてね!」
見習い娘もシシィを見てニッコリする。
「おいしいね、おねえちゃんっ!」
迷子少女は何個目かのケーキを口いっぱいに頬張って、シシィに笑いかける。
シシィは今日一番の満面の笑顔で頷いた。
「うんっ! ありがとうっ!」
(邪魔なんて言っちゃってごめんなさい)
奇妙な縁で繋がった人達を見回して、シシィは満ち足りた気持ちになる。
まだまだ夜は長い。
遠くの方から祭りの軽快な音楽が聞こえてくる。祭りの熱気は、もうすぐ最高潮に達しようとしていた。
――「5.限定スイーツ」おわり。「最終話 猫妖精は夢を見る」につづく。
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