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「それで、限定スイーツを食べに行くってわけ?」
半目で言うキンに、シシィは大きく頷いた。
「だって限定よ? ヨダレが止まらないわ!」
今日は待ちに待った「人の日」だ。
日も暮れ、大半の猫妖精は姿を変えて国を発っていた。2匹が腰掛ける木の上も、他に猫妖精の姿はない。
「本気? 普通、今日は恩返しをしに行く日でしょ?」
シシィと同じように、日が暮れてもまだ猫妖精の国に止まっていたキンに言われ、シシィは唇を尖らせた。
確かに、この日に恩返しに行く猫妖精は多い。
人里にいるとき、いつもご飯をくれるおばあさんに日頃の感謝を込めて贈り物をする猫妖精もいるし、いつも撫でてくれる少女の元へ、いつもは言えない感謝の言葉を伝えに行く猫妖精もいる。
しかし、シシィの決意は固かった。
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