2.猫妖精の国

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「私もそろそろ行こうっと」    シシィも木から飛び降りると、小さく呪文を唱えて、キンと同じように木のウロの中へと入っていった。    暗いウロの中で、足元に生える猫じゃらしが淡く光りを放っている。  薄ら緑色に輝く光を目印に、だんだんと明るい方へと進んでいく。 (そろそろ出口だわ!)    白い光りの中へ足を踏み入れたシシィは、次の瞬間、人気のない路地に立っていた。  視線がいつもより高くて、地面までが遠い。手もモフモフの毛に覆われていない。    シシィは曇った窓ガラスをのぞき込んだ。    肩の上で自由に跳ねる灰色の髪、好奇心に煌めくオリーブ色の瞳。素朴な、どこにでもいる町娘の姿がそこにはあった。    シシィはニンマリして、その場でくるりと一回転し、足の感触を確かめるように足踏みする。 「うん、絶好調!」    町娘になったシシィはぴょんと一つ飛び跳ねると、元気に夜の街へと繰り出した。 ――「2.猫妖精の国」おわり。「3.露店街」へつづく。
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