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1.美味しいうわさ
(今日も暑いわねぇ~)
連日の猛暑に体力が奪われている気がする。シシィは夏の暑い陽差しを避けて、爽やかな風が通る木の上で昼寝を貪っていた。
「そういえばさ」
自分の下で聞こえた男の声に、シシィは薄らと目を開けた。
木漏れ日の下では、シシィと同じように灼熱の太陽から逃れてきた村の青年が二人、立ち話をしているところだった。
「来週、リヌエで祭やるだろ?」
「祭?」
聞かれた方はちょっと考えるように顎に手を添える。
「あぁ、もうそんな時期かぁ! あそこの祭、毎年派手だよなぁ。一晩中どんちゃん騒ぎでさぁ~!」
(「沈まぬ月」のことね!)
シシィは目を見開いた。
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