1.美味しいうわさ

1/4
前へ
/40ページ
次へ

1.美味しいうわさ

(今日も暑いわねぇ~)    連日の猛暑に体力が奪われている気がする。シシィは夏の暑い陽差しを避けて、爽やかな風が通る木の上で昼寝を貪っていた。 「そういえばさ」    自分の下で聞こえた男の声に、シシィは薄らと目を開けた。    木漏れ日の下では、シシィと同じように灼熱の太陽から逃れてきた村の青年が二人、立ち話をしているところだった。 「来週、リヌエで祭やるだろ?」 「祭?」    聞かれた方はちょっと考えるように顎に手を添える。 「あぁ、もうそんな時期かぁ! あそこの祭、毎年派手だよなぁ。一晩中どんちゃん騒ぎでさぁ~!」 (「沈まぬ月」のことね!)    シシィは目を見開いた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加