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時を同じくして、一人の男が文字通り黙々と仕事をこなしていた。
森の奥には小屋があり、独居老人が余生を過ごしている。今回受けた「依頼」の内容は、この老人の抹殺だ。
なんでも若かりし頃は警察の幹部として、マフィア対策の前線で活躍していたらしい。数年前に退職し、その座を退いてからも尚、相談役として警察や政府に助言をしたり、個人的にも社会の闇を嗅ぎ回っているという話である。
自分たちの組織にとっては、間違いなく目障りな存在だった。
目的地の手前で車を降りると、ピストルを手に歩き出した。
ブーツの底にぬかるんだ土がへばり付くのも構わず、レザーパンツに包まれた長い脚を動かし、大股で歩く。仕事のため、命令ならば、とその鍛えられた体はひとりでに動き、突き進むかのようだ。
木立の中には人目もなく、月の光も届かない。うなじにかかる長さの黒髪も、ズボンと同じレザーのジャケットも、鍛えられた体躯も、夜闇に溶け込んだ。
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